天然石にまつわるショートコラム(第三十五回目)

天然石にまつわるショートコラム(第三十五回目)

先週土曜日に投稿したコラムです

 黒地あるいは濃緑地に白色の蛇がうねった形の石が、蛇石です

 古来、蛇は神の使いといわれ、福を招き、財をなすと大切にされました

日本各地に蛇を祀った、神社仏閣、祠などが多く点在し、地域に根ざした信仰のシンボルとなっています

 現在流通している、蛇石と呼ばれる石は、天然石ではなく、次の2箇所で採掘される石を加工したものです

一つは、長野県辰野町の横川で採掘されるもので、1940年に「横川の蛇石」として国の天然記念物に指定されています、黒色の粘板岩に白色の石英脈が貫入してできた造形で、職人の手によって蛇が浮き出る形に磨かれています

 もう一つは、埼玉県秩父市の金崎で採掘されるもので、濃緑色の蛇紋岩に、灰白色の大理石が貫入した蛇灰石(へびかいせき)です、これも職人が蛇を浮き出させて仕上げます、長瀞付近は天然記念物のため採掘不可です

現在、秩父の蛇灰石は職人さんが新たな蛇石は作らないと聞いています

天然記念物と職人の活動停止により、蛇石は希少種になると思われます

 蛇足ですが、富山県魚津市の片貝川には、白い花崗岩に黒い輝緑岩が貫入した蛇石があるそうですが、これは蛇石としては流通していないようです

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