天然石にまつわるショートコラム(第五十九回目)

天然石にまつわるショートコラム(第五十九回目)

古代〜近代アメリカと天然石(3)

アメリカ大陸では、紀元前から文明が栄えており、
遺跡から当時の天然石の使われ方が分かります

1.北米地域
15世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見した以降に、ネイティブインディアン(外部の人が呼んだ名前)に、装飾品に使われたシルバーとターコイズなどの天然石がヨーロッパから伝わりました

2.中米地域(メソアメリカ)
(現メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、ベリーズ)

2.1オルメカ文化 紀元前11世紀〜紀元前1世紀
金属の工芸品が作られない時代であったようで、
土器や石を加工した石像や装飾品が出土されています
 翡翠が仮面や装飾品に使われていました

2.2前期マヤ帝国 紀元前6世紀〜8世紀
 翡翠
 当時の支配者がつけていた仮面やネックレス、タイルとして出土しています
 ラピスラズリ
 装飾品の青色部分に多く見られました

2.2前期マヤ帝国 紀元前6世紀〜8世紀
 パレンケで発掘された遺体が赤い辰砂(シンシャ、シナバー)で覆われていたため赤の女王と呼ばれる、被っていた赤のマスクに、孔雀石(マラカイト)、黒曜石、翡翠輝石(硬玉)が使われていた(硬玉の翡翠は今でも加工が難しく、当時入手が困難であったと言われています)

2.3テオティワカン文明(現メキシコ) 1世紀〜8世紀
 オブシディアン
 隣国との交易として使われ、加工場が多く存在していました
 翡翠やサーペンティン(蛇紋岩)
 モザイク石像に用いられました

2.4後期マヤ、トルテカ文明 8〜12世紀
崇拝の対象であった羽毛の襟巻きを首に巻いた蛇の神ケツァルコアトル(ククルカン、マヤ語)神が有名なトルテカ文明のトゥーラ遺跡
翡翠やターコイズを祭祀や装飾品として使っていました
後期マヤ文明のウシュマル遺跡からも翡翠の装飾品が発見されています

2.5アステカ帝国 12〜16世紀
メキシコの国名の由来となった言語、
 翡翠、ターコイズ、オパールが祭祀や装飾品として好まれていました
 空と大地を表す緑色、空色が象徴的に扱われていたようです

3.南米地域(アンデス)
(現エクアドル、ペルー、ボリビア)
3.1インカ帝国(現ボリビア) 13〜16世紀
 ロードクロサイト(インカローズ)
 当時のアンデス山脈山中から多く産出されました、現在の産地はアルゼンチンやペルーです
 エメラルド
 聖なる石として崇められ、装飾品として使われていました、スペイン人による侵略、90m以上離れても分かるピラミッド型のエメラルドを奪ったと言われています
 ターコイズ
 装飾品として使われていました
 翡翠
 生命の象徴、王権の象徴として、王のミイラの仮面が緑色の翡翠で覆われていました

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