天然石にまつわるショートコラム(第五十三回目)
天然石と仏教の深い関係をご存知でしょうか、
仏教思想には、阿弥陀仏を信仰した信者が、死後に行くことができる苦しみの無い世界、極楽浄土があると信じられてきました
この極楽浄土は、後で述べる「七宝」という宝石で飾られていると信じられてきました
現実世界では、苦しみに耐えて、宝石には出会うことはありませんが、死後には出会うことができると説かれています
仏教では、信仰を深める道具として天然石が使われているようです
天然石のビーズには、6字真言が彫られているものがあります、6字真言とは”オンマニベメフン”と読み、チベット語の6語で「幸い」(1語)「知恵」(2語)「慈悲」(2語)「真言の完成(口を閉じて出す阿吽の吽)」(1語)を表し、6字真言が観世音菩薩と一体であると考えて、真言を唱えることで、苦痛や恐怖が消え、寿命が延び、財産が増えると言われています
六字真言が彫られたビーズは、”観世音菩薩”を彫ったと同じ意味があります(観世音菩薩は、観音様と呼ばれ、慈悲深く、現世利益を叶えてくれると言われています)
仏教のお経には、七宝(金・銀・瑠璃・玻瓈・硨磲・赤珠・碼碯)などの天然石が出てきます
『仏説阿弥陀経』は、極楽浄土の荘厳を、
楼閣あり、また金(こん)・銀(ごん)・瑠璃(るり)・玻瓈(はり)・硨磲(しゃこ)・赤珠(しゃくしゅ)・碼碯(めのう)をもってこれを厳飾(ごんじき)せり、と言っています
金、銀は、現在の金銀を指しますが、瑠璃は青色の玉(注、ラピスラズリ思われます、玻瓈は水晶、硨磲は白い珊瑚または美しい貝殻(注、シャコガイと思われます)、赤珠は赤い真珠(注、コンクパール思われます)で、碼碯は今の碼碯ではなく、エメラルド(注、グリーンアゲート思われます)と言われています
その名残りでしょうか、仏教寺院の記念品売り場に、水晶、アメジストなどの天然石が入った数珠が売られているのを良く見かけます